インプラントの利点(メリット)は、まずご自身の歯が無くなった部分の別の治療法の選択肢が何か、(比較する対象が何か)によって変わりますが、
① 何も入れない
② ブリッジ(固定のもの)を入れる
③ 入れ歯(取りはずしの義歯)を入れる
の3つを比較対象として説明いたします。
インプラントの利点(メリット)として、
- 良くかめる
- 発音がしやすい (しゃべりやすい)
- 口の中が自然なかんじ(じゃまな感じがしない)
- 見た目が自然できれい(審美的)
- 両隣りの歯を削らないでよい
- 両隣りの歯を力の面からサポートしてくれる
- 両隣りの歯を歯みがきのしやすさからサポートしてくれる
等があります。
メリットを順にくわしく説明しますと、
1.良く咬める
①、③と比較すると圧倒的によく咬めます。入れ歯を一度でもお使いになった経験のある方は良くご存じでしょうが、特に下あごの入れ歯は痛みが出やすい事 は、上あごのように広い面積の上に乗せることができない下あごの根本的な構造上の理由からどうしても避けられないことが多いのです。
入れ歯と歯ぐきのすき間にゴマやイチゴの種の様なものがはさまって咬むととても痛い、という経験をされた方も多いと思います。
② のブリッジはかみごこちに関してはそれほど劣りません。
2.発音がしやすい
これも①は当然空気が漏れたりして他人から言葉が聞き取りにくくなります。③と比較すると不自然な形が無い分しゃべりやすくできます。しかし、残っている 骨の量などによってどうしても専門医でなければうまくできないケースもあります。②のブリッジはポンティックと呼ばれる部分の形によってはしゃべりにくく なるケースもありますが通常大きな差異はありません。
3.自然な感じ
特に内側(舌のある側)の形が不自然なでっぱりがあると、舌を動かす度に触れますのでどうしても、じゃまな感じを受ける方が多いです。
4.見た目が自然できれい
②ブリッジは保険治療の場合、全体を銀色の金属で包む形になりますので自然な白さのためには保険外の一般治療になります。
③入れ歯は両隣りの歯に通常クラスプと呼ばれる金属のばねのようなものがかかります。
5.両隣りの歯を削らないでよい
②ブリッジの場合両隣りの歯もしくはさらに多くの歯を削らなければなりません。③入れ歯の場合もクラスプ(金属のばね)をかけるため歯を削らなければならないケースもあります。
6.両隣りの歯を力の面からサポートしてくれる
①、②、③ともに両隣りの歯にはインプラント相当部分を加えた力がかかってしまいます。本来加わる以上の過剰の力がかかり続けることによって両隣りの歯に は無理な負担がかかります。インプラントが入ることによって両隣りの歯はその無理な負担から解放されますので、結果的に寿命が延びることになります。
ブリッジの咬み合わせの力は 隣りの歯にかかります
入れ歯の咬み合わせの力も 隣りの歯にかかります
7.両隣りの歯を歯みがきのしやすさからサポートしてくれる
②ブリッジの場合歯の無いダミー、もしくはポンティックと呼ばれる部分は、通常の部分よりもどうしても食べかすや汚れが残りやすいことが多いです。
入れ歯の場合は義歯と両隣りの歯とのすき間、ばねと両隣りの歯との間にも食べかすや汚れが残りやすくなります。
すると両隣りの歯もその影響で虫歯や歯槽膿漏(歯周病)が進行しやすくなります。インプラントの場合は専門医によって適切なポジションにインプラント体が埋入されている場合汚れは残りにくく、歯みがきもしやすい形にできる場合が多いです。6、7、の結果としてインプラントの場合の方が両隣りの歯の寿命は長くなります。
入れ歯、ブリッジの場合(特に保険治療の場合)両隣りの歯は早い時期にまた抜くことになる確率が高くなります。その時には、もうブリッジでは治療できなくなることがほとんどです。
より大きい入れ歯等の治療になっていきます。
1、〜7、の点はインプラント専門医がしっかりした診断に基づいて治療した場合には保障されますが、安易に治療をすると「良く咬め、発音しやすく、審美的で、歯みがきしやすい」インプラントを作ることは非常に難しいのが現状です。