インプラントの欠点(他の治療法と比較した時のデメリット)は
①保険が適用されませんのでかなり高額な治療になります。
②治療期間が長くかかります。
③外科的な治療が必要になります。
順にくわしく説明いたします。
①保険が適用されませんのでかなり高額な治療になります。
インプラントの治療費は通常一本30万〜60万円の場合が多いです。
同時にGBRと呼ばれる骨を作る手術や、
FGGと呼ばれる弱い歯ぐきを直す手術
を行った場合、別の費用が必要となります。
②治療期間が長くかかります。
治療期間は3か月から6か月、インプラント数が多く骨の無い部分が多い場合などで長くかかる場合1年以上になるケースもあります。
インプラントは最初から骨とくっつくわけではありません。骨折した時すぐに骨と骨がくっつかないのと同じです。
オッセオインテグレーションと呼ばれるインプラント体(純チタン)と骨との結合を待つ期間が下あごの骨で約2か月上あごで4か月、骨粗鬆症の方のような骨の質の弱い方だとさらに2,3か月必要になります。
オールオン4(フォー)と呼ばれる下あごに限定される術式でかぶせるものは入れ歯になるやり方ですが歯を抜いたその日に入れ歯で咬めるようになる方法も最近はあります。
UCLA(カルフォルニア大ロス校)ワイントロープ研究室の研究等によってインプラント体の表面に特殊な加工をし、オッセオインテグレーションの期間を飛躍的に短くする技術も現在研究がすすんでいます。
今後治療期間はさらに短くなる可能性が高いと思われます。
③外科的な治療が必要になります。
最近のインプラント治療の外科手術は専門医の場合、特別な手術以外はほとんど痛みも腫れも出ません。
GBRという骨を作る手術の大きなケース、サイナスリフトという特殊な手術の場合、痛み、腫れが多少強く出るケースはあります。
最近は「抜歯即時埋入」といって歯を抜く時に同時にインプラントを埋入する術式もあります。その場合実質インプラントのためだけの外科手術はしなくてすみます。
ただ、「抜歯即時埋入」は事前の的確な診査と診断がなければ後に歯ぐきが退縮してきてインプラントの寿命が短くなってしまう、というトラブルが多く出ています。どの程度の経験を持った医師か良く見極めたうえで処置を受けられることをお勧めします。
従来の方法のすぐれている点は(野々山)
従来の方法のインプラントと比較してのすぐれている点は
入れ歯(義歯)
④保険で作れる。
⑤短期間でできる。
⑥他の歯をあまり削ったりしないで作れることも多い。(ブリッジとの比較での利点)
ブリッジ
⑦保険でも作れる。
⑧短期間でできる。
⑨外科的なことは基本的に必要でない。
ただ、ブリッジの場合構造的に決定的な欠陥として以下のようなことがあります。
歯には根の部分があります。根のまわりに「歯根膜」と呼ばれるクッションになる部分があります。
このクッションによって歯を強く咬む時に少し歯は沈みます。
一本の歯に一つのかぶせ物がのる場合は全く問題はないのですが、ブリッジの場合は2本以上の歯に対して一かたまりの金属なりのかぶせ物がのります。
2本の歯には2本の根があり、歯根膜のクッションによって別々の動きをしようとします。
一日に何十回、何百回のくりかえしですのでこの状態が何年も続くとどうしても片側のかぶせ物が先にはずれてくるということがおきる可能性が高くなります。
特に保険の治療のかぶせ物、歯と歯の距離の長いものははずれやすくなります。
単独の歯のかぶせ物の平均の持ち年数が約8年に対してブリッジは5年という報告があります。
ブリッジの場合には片方のかぶせ物がはずれた状態になっても全体としては取れてきてくれません。
結果としてはずれてくれないために、かぶせ物の中で気付かない間に虫歯がどんどん進行していってしまう、ということがしばしば起きます。
その場合はもうその歯を残すことは難しくなることが多いです。