インプラント治療は外科手術ですので、必ずリスクというものはあります。
1、手術時の問題として
最も大きなリスクの一つに大きな血管を切ることによる大量出血があります。東京都内においてインプラント手術中に不幸なことに亡くなられた方がいらっしゃ います。他のリスクとしては 下のあごでは 下歯槽神経という神経の傷による下くちびるの感覚の麻痺(しびれ)が起こる可能性が挙げられます。
下のあごの骨の中には下顎管という管が通っておりそこの中に神経、血管が通っています。
インプラント治療の際に傷ができる場合と、インプラント体が圧迫する事によって、おきる場合があります。2〜3ヶ月で消えることもありますが、しびれの残るケースもあります。
上のあごでは上顎洞(上のあごの骨の中の空洞)と呼ばれる空洞の中にインプラントが落ち込んだり、一時的な炎症が起きることがあります。
こういったリスクについて必要以上に怖がったたり、心配したりすることはありません。
危険な血管、神経の部位、走行(走り方)、個人差、その部位の歯ぐきの切開法(切り方)等をしっかり勉強し、事前の診査を慎重にしっかりされる、経験をつんだ医師による手術であれば、ほとんどのリスクは回避できます。
2、インプラントが骨と結合して歯が装着されてからの問題として
インプラントの入れる位置を誤った場合、特に前歯部で多いのですが 隣の歯より
長くなったり 形が損なわれたりし、審美性に問題が出る場合があります。
また、お口全体で治療計画を立てないで 当面の問題箇所のみにとらわれることによって、インプラントの本数が多くなり必要以上に金額がかかることもあります。
また、本数が少なく、適切な位置に入れていない為に 負担過重になりインプラントがだめになってしまうこともあります。
一般的にインプラントの方がご自身の歯より噛む力が強い傾向にあるため、かみ合う歯を傷めることにもなりかねません。
また、はぎしりやくいしばりの癖のある方も注意が必要です。
このような方には就寝中はナイトガード(透明のマウスピース) を着ける必要があります。
インプラントも歯周病になります。
インプラントは日頃のケアと歯科医院でのケア 両方が必要不可欠になります。そういったことから、他の歯の歯周病の治療は大変重要で 改善されないままのインプラントは失敗する確立が高くなるのです。
また、歯周病の治療をおろそかにし、次から次へとインプラントが増えていくといった悲惨なケースもあります。
しかし、こういったことは、インプラント治療だけでなく 歯周病治療、かみ合わせの治療、予防ケアなどトータルに対応することによって避けることができます。
その点からも歯科医師の選択は大変重要です。
いままで不安にさせるようなことを書いてきましたが、どうかご安心ください。インプラント治療は現在、失った歯を取りもどす最良の方法であることはまちがいありません。
また 以上のことを留意していただければ、長期にわたり インプラントはもちます。そして患者様のお口の健康を保つことができます。
リスクの回避という点からも 利点だけでなく リスクについても 信頼のおける担当医との事前の説明、話し合いが大切です。