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歯槽膿漏(歯周病)でもできますか?

できます。

現在、40歳以上の日本人のほとんどは歯槽膿漏(歯周病)にかかっているというデータがあります。

インプラント治療を行う前に必ず現在残っている歯の歯槽膿漏、即ち歯周病の治療が必要になります。

歯を失った部分のみに注目してインプラントを埋入してもよい結果が得られないことがほとんどです。現在残っている歯の歯周病治療とインプラント治療は密接につながっています。歯を喪失した原因が歯周病であれば、残っている歯も歯周病にかかっている可能性が高く、それらの治療を徹底して行うことが大切です。もし残っている歯の歯周病を治療せずにインプラント治療を行っても、その後、様々な問題が生じることは明らかです。

現在残っている歯が歯周病にかかっている場合、様々な問題点が存在します。

1.お口の中にばい菌(歯周病菌)がたくさん存在する

歯槽膿漏すなわち歯周病とは、食後の食べ残しの歯垢(プラーク)が原因となり歯を支えている骨が細菌により溶けていく慢性の病気です。

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そのまま放置しておくとやがて歯がぐらぐらと動き出し、最後には自然に抜け落ちてしまいます。

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歯周病はせっかく治療して良くなっても、正しいブラッシングを毎日続けなければ、また再発してしまいます。インプラントは細菌に非常に弱いものです。歯周病の患者様の場合、手術してもインプラントが歯周病菌にいつもさらされることにより骨と結合しにくいことが報告されています。幸い骨と結合した後であって も歯周病菌による影響が常に付きまといます。インプラント治療後は健全な歯があった時以上に、日々の清掃管理(歯磨き)が重要になってきます。細菌に弱い インプラントが、歯周病の歯が残っている細菌がいっぱいのお口の中で長持ちできるでしょうか?


2.治療が複雑になり難しくなる

もし、歯周病の患者様がインプラント治療を希望されていれば、まず、お口全体の歯周病の状態がどんな状態であるか、詳しい診査と診断が必須になります。そして、その後の綿密な治療計画が必要になります。それによりしっかり咬めて、患者様ご自身で毎日行うブラッシングがしやすく、治療後の状態を長持ちさせることが可能となります。インプラント治療に相談に行かれた患者様が、その日にインプラントの埋入手術を受けるということは通常考えられません。

また、歯周病の歯で残せる歯、抜歯する歯の判断基準が歯科医の歯周病治療の知識・経験・技術によりまちまちです。最近ではインプラント治療の信頼性が高まり、抜歯の判断基準が変化してきています。

しかし、いくらインプラント治療が進歩したといっても自分の歯に勝るものはありません。残せる可能性のある歯を検討、努力もせずに抜歯することはあまりに 安易すぎます。我々が考える残せる歯というのは、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの間の溝が3ミリ以内で検査の時に出血もない状態に治療できる歯のこと です。それには多くの場合、歯周組織再生療法と呼ばれる骨を再生する特殊な手術を含む歯周病のための外科処置が必要となります。残念ですが残せる歯に対してそのような徹底的な治療ができるかどうかは歯科医院、歯科医師によって大きな差があることは事実です。


3. 歯を支える骨が溶けているため、インプラントを支えるための骨がない

歯周病により歯を失った部分の骨は、インプラント治療には幅、高さ、量が不足していることが一般的です。そんな状態でインプラント治療を行うと咬み合う力に耐えられない、食べかすが詰まりやすく歯みがきが難しい見た目の不自然な(審美的ではな い)歯の形になるなど様々な問題が起きます。そのため、このような不十分な骨の状態に対して、骨を造る手術が必要になります。よって、治療の期間は長くなる場合もあります。



4.進行した歯周病では、歯が動いて咬み合わせの位置がずれている

歯周病により歯を失い、また、歯が延びてしまったり傾いたり移動してしまった結果、上下の歯の咬み合わせの関係がずれてしまっていることがあります。

このような場合は、インプラント治療前にずれてしまった咬み合わせの関係を、どのように修復するか決めなければなりません。そのためには、事前に患者様の お口の模型を参考にし咬み合わせの関係をシュミレーションしたり、仮歯や入れ歯によって正しい咬み合わせと歯並びを模索しなければなりません。高度な技術 を持たない医師による出たとこ勝負で適当な位置にインプラントを埋入してしまったあとでは、とりかえしのつかないことになります。

以上、歯槽膿漏すなわち歯周病の場合、インプラント治療に伴う問題は様々あり、この解決なしに治療は成立しません。後悔のない治療を受けるには、高度な歯周病の治療を積極的に行っている歯科医院の選択がポイントとなるでしょう。技術的にも歯周組織再生療法など、専門的な歯周病の手術ができれば、インプラン ト手術においても高度なことに対応は可能でしょう。インプラント治療には、いくらインプラントの外科的なこと(手術)の知識、技術ももちろん、歯周病、咬 み合わせの知識や診断力もなければ、インプラントも残っているご自身の歯も共に長持ちする治療にはなりません。

木林 博之

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